回る君達は光となる

 11月2日に博多なないろ公演、チームパープルとチームレッドの公演を見ました。新しいセットリストになった博多なないろ2期において、その変更によってさらに好きになったのがこの2チームです。パープルもレッドも新たに追加された曲がどちらも自分好みで、本当に見ていて楽しい。

 

 私はアイドルが輪になって踊るシーンが大好きです。アイドルだけの閉じた空間、完全にオタクを輪の外に追い出した花園としてのステージ。輪になってメンバー同士がアイコンタクトしている時の、お互いを信頼しあっている空気が好きです。あの瞬間に出る笑みはアイドル同士、仲間だからこその信頼感があります。

 

 とはいえ、アイドルはファンがいなくては成り立たないとはよく言われることです。それはわかっているのですが、オタクの声が届かない彼女達だけの世界だけを見たい欲があります。その一方で、自分もアイドルからのレスを欲しがってしまったり、私個人を認識されたいといった欲もあります。アイドルだけの世界を希求しつつ、欲深い自身と向き合う日々です。

 

 博多なないろ公演のパープルは『初恋至上主義』のサビで輪になって回ります。その輪の雰囲気が素晴らしい。勢いのある輪の回転が、その遠心力でもってパープルの輝きを力強く放ちます。見ている私は、このままずっと回り続けてほしいと、叶うことのない願いを胸に抱いてしまいます。その『初恋至上主義』が素晴らしすぎて大団円みたいなフィナーレを迎えてからの『早送りカレンダー』なので、こんなに楽しい時間がまだ続くのかと幸せのオーバーフローが起こります。

 

 レッドも回転こそしませんが、『僕だけのSecret time』で輪になります。仕方のないことですが、輪になると客席に背を向けなければならないメンバーが出てきます。なので輪の雰囲気はこちらに顔を見せているメンバーからしか窺い知れない。『僕だけのSecret time』では客席から顔が見えるメンバーは松岡はなさんです。この時のはなちゃんの表情が毎回最高に可愛い。この瞬間だけステージが楽屋のような雰囲気になります。そこにはお互いを信頼しあっているからこその笑顔がある。このはなちゃんの笑顔を見ると、ずっと幸せでいてほしいと願ってしまいます。

 

 そして私がレッドを大好きなのは、何よりもアンコールで歌われる『ハッピーエンド』が素晴らしいからです。セットリストを考えた下野由貴さんによると、アンコールで歌いたい曲を運営に提出しても、ことごとく他の公演で使われていて却下、悩んだ末の『ハッピーエンド』だったらしいのですが、この選曲が素晴らしい。この日、私はちょうどセンターゼロズレの席で見ていて、ステージにまっすぐ視線を向けると松岡はなさんが歌っていました。『ハッピーエンド』の最後で微笑むはなさんが、歌詞と相まって笑顔なのに切なそうで、それがこの場の出会いをとても貴重なものと感じさせてくれて、今この瞬間を大切に受け取らなければとステージを目に焼き付けました。

 

 しかも今、『ハッピーエンド』に新しい、しかし悲しい輝きが生まれつつあります。『ハッピーエンド』はそのタイトルの通り、終わりというより終わり方を歌った曲です。始まった物語にどう幕を引くのか、そこに焦点を当てた曲です。この日も『ハッピーエンド』で締めくくられ、満ち足りた気持ちで公演が終わろうとした最後、清水梨央さんからHKT48卒業の発表がありました。幸せの頂点から一気に急転落下、なんとか平静を保つのが精一杯でした。チームレッドを見続けて、やっと清水梨央さんの良さを気付き始めたところだったので寂しい。言葉を失ってしまった劇場からの帰り道、頭の中ではずっと『ハッピーエンド』のサビがリフレインしていました。

 

 「涙もあっていいけどちゃんと笑顔で終わらせてほしい」と歌う『ハッピーエンド』は、図らずもチームレッドと清水梨央さんのための曲となってしまいました。偶然というには出来すぎな選曲です。春のチームグリーン小川紗奈さんと『大好きな人』を思い出します。私はなんだかんだと別れの曲を好きになってしまうのですが、いざ現実の別れを前にすると、曲が好きとか言っていられる場合ではありません。これからは『ハッピーエンド』を聴く度に、この日を思い出す予感がします。

 

 幸せと悲しみが同居した公演でした。輪になり光り輝く彼女達から、もうすぐひとつの星が離れることを考えると、別れはまだ先だと思っていても悲しい。しかしそこには輪が生んだ遠心力があるはずです。どこよりも遠くに行ける力を得ているだろう清水梨央さんの勢いを、あと何回見れるのかわからないけれど、遠くから見守ろうと思います。素晴らしい公演をありがとうございました。

 

 

 

 

 
 
 
 
 
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