10周年と手を振り続けた1年

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 HKT48劇場10周年記念特別公演の11月27日後期公演の感想です。

 

 前期のちょっとした感想はこちら。

 

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 前日の26日はお見送りが当たるくじを引くことすら出来なかったので、この日は早めに劇場に向かいました。HKTの劇場がある建物E・ZO FUKUOKAはPayPayドームの隣で、外はもろに海風が吹き荒ぶ場所です。日も暮れて海風が寒い中を並び(結果的には並ばなくても買えたのですが)、写真を買って売り場スタッフにエールを送られながらくじを引いたところ、なんとか当選人数10人の中に滑り込み。ロビー観覧とお見送りの権利を得ることが出来ました。感謝🙏🏻(何回ループしたかは聞かないでほしい)。

 

 

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 たとえロビー観覧であっても、家でDMM配信を見るのとは大違い。名前も知らないオタク達と共に見る連帯感と、ロビーのすぐ隣でHKTがパフォーマンスしていることを想像しながら見るのは、確かに現場感がありました。

 

 後期公演の豊永阿紀さんといえば、まずは何よりも『涙の表面張力』のソロでしょう。10周年公演でソロを任されたのは矢吹奈子さんと豊永さんのみ。それだけ期待されてのことです。

 

 『涙の表面張力』の直前が『3-2』でした。『3-2』は豊永さんも結構目立つ曲です。しかしロビーの大きな画面で見ていて、激しく踊るメンバーの中に豊永さんを探したもののどうにも見当たらない。豊永さんなら必ず出るであろう『3-2』に敢えて出ていないなら次の曲に出るのだと予想はしていたのですが、まさかソロだとは思いませんでした。『3-2』は見るほうもかなりエネルギーが要ります。なので曲が終わった時に集中力が途切れて、ちょっと気が抜けたんですね。その一瞬無防備になったところを豊永さんに狙われてしまいました。不覚…。

 

 体験はしていないですが自分でも知識として知っていた豊永さんの「ギリギーリ」。とにかく歌い出しの気迫がすごかった。歌声の圧が劇場の壁を越えてロビーまで波動のように伝わってきました。ズドン! ときた。その瞬間、ステージには豊永さんひとりのみ。博多の中心でギリギリと叫ぶ豊永さんは、ただただ孤高の存在でした(私にとって博多の中心は劇場です)。

 

 しかしよくよく考えなくても圧を感じたのは錯覚です。私が豊永さんを好きだから感じ取ってしまった魔法のようなもの。それはロビ観であっても何かしらの特別な瞬間に出会いたいという欲望が、このような体験を生んだのかもしれません。そう考えるとなんだか惨めにも思えますが、だいたいが表現する者とそれを受け取る者の間に完全に一致する理解があるほうが珍しい(だからこそ一致した時が尊いのですが)。届けたいものが100%そのままに受け取れられたら素晴らしいですが、こちらがどう受け取ろうが自由です。なので自分のこの感想も身勝手な美化にすぎないのだけど、豊永さんのパフォーマンスの素晴らしさは変わりありません。

 

 胸に迫る歌は、冬の朝の空気に触れたような目の覚める鋭さがあった。本当に豊永さんは場の空気を一瞬で変えます。この時の豊永さんは、歌はもちろん、その場にひとりで立っている存在そのものが強く光を持っていました。生誕祭の時も思ったのですが、豊永さんの私が主人公と信じている時の最強感がやばい。絶対無敵のスター状態でキラキラ光っている。そのように輝ける場所を豊永さん自身が作り上げていることが何より素晴らしい。

 

 どのような仕事だろうと彼女が真摯なのは当たり前ですが、殊更に誰もが重要だと考える場面に自分も立ち会えたことが、うれしいというよりホッとして気持ちになりました。歌っている時の張り詰めた空気から、曲が終わって幸福と安堵が少しずつ身体に沁み込んでいきます。胸いっぱいでした。

 

 

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10周年公演の翌日に行われた劇場での衣装展示

 

 

 公演本編の最後は『誰より手を振ろう』でした。現在は違いますが博多なないろ公演1期のアンコールで歌われた、私も大好きな曲。1年前にHKTを好きになって、そこから博多なないろ公演を見続けて育った私にとって、とても大切な曲です。なないろで聴きすぎて自然と振りコピまで出来るようになりました。この曲のように、好きな曲を節目の場面で聴くことが出来ると、オタクとしての自分の嗜好がHKTの本流からズレていないような気がして安心します。

 

 『誰より手を振ろう』は曲そのものも好きなのですが、なないろのチームブルー公演ではこの曲しか豊永さんが近くに来てくれないこともよくあって、とても救われた記憶があります。自分はよく当日券で入っていて、当日券は基本的に立ち見です。『誰より手を振ろう』をアンコールで歌っていた頃のブルーのセットリストは、とにかく立ち見のある上手側に豊永さんは来てくれませんでした(1曲目の『アイドルの王者』ぐらい?)。そしてアンコールの最後の曲である『誰より手を振ろう』で、やっと上手の立ち見に最も近いところまで豊永さんは来てくれる、そんな状況でした。認知も何もなかった自分は、その時だけうちわの力でレスを頂く、それを博多なないろ公演が行われている間はずっと続けていました(今はセトリが変わってますが)。それでも楽しかった。レス云々は置いておいて、オタク3日目の熱量で公演は楽しかった。そんな感じで、HKTを好きになって劇場公演を見始めてから、初めて生まれた思い入れのある曲が『誰より手を振ろう』なんですね。公演の締めとして相応しいから選曲されやすいとはいえ、思い入れのある曲をこのような大切な公演で歌ってくれるとすごくうれしくなります。

 

 無事に公演が終わった最後にHKTメンバー全員によるお見送りがありました。私にとってのこの日のメインイベントです。慌ただしいスタッフの説明に緊張してきます。劇場内のお客さんのお見送りに続いてロビーのお見送りのみ参加者が劇場に入ると、ステージの下には大人数のメンバーが勢揃いしていました。1列に並べないので折り重なっています。劇場に入ってすぐにお見送りなので、とにかく豊永さんがどこにいるか確認しました(必死)。が、いちばん上手のお見送り開始のポジションにおいもちゃんと並んでいるのをあっさり発見。安堵するのも束の間、お見送りがすぐに始まって豊永さんの目の前に行ったら、気付いてくれたのか思いきり手を振り返してくれました。気付いていたと信じたい。その後は流されるままにたくさんのメンバーと会釈してお見送りは終わりました。一瞬のような、でも豊永さんと向き合っていた時間はとても長く感じられて、不思議な時間でした。

 

 私が通り過ぎた後もこちらに向かって手を振り続けたくれた豊永さん(直後の人ごめんなさい、でもおいもちゃん推しだったから許してほしい)。そのずっと手を振ってくれた姿は、『誰より手を振ろう』の続きを見ているようで、この1年間の集大成のようにも感じました。そこにあるのは別れの挨拶ではなくて、次にまた会うための約束の挨拶。手を振り続けた先に今があります。過去があって今があって、そして未来がある。その今現在のきらめきに目を細め、未来に希望を見い出せる瞬間でした。ありがとうございました。

 

 楽しい10周年公演でした。もちろん長く見続けてきたファンとは感じるものは違うと思います。私は私なりに楽しかった。HKT48の歴史と未来を感じられた2日間でした。最後の松岡菜摘さんの言葉がとても頼もしく、11年目も楽しみです。豊永阿紀さんもさらに活躍する予感がしてわくわくします。あらためて10周年おめでとうございます。

 

 

 

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