『しゃーSHE♀彼女2』初日感想

 6月17日、福岡市美術館ミュージアムホールにて舞台『しゃーSHE♀彼女2』初日を観てきました。その感想をサクッと書きます。

 

 

 ちょっとだけネタバレしています。

 

 

 

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『しゃーSHE♀彼女2』もいいですが同じ福岡市美術館でやっているミナ ペルホネンの展覧会もおすすめです。

 

 

 

 『しゃーSHE♀彼女』が好評だったからなのか、2作目となった今回。前回と違うのは、男性俳優がひとりも出演しないことです。『しゃーSHE♀彼女』を観た人はわかると思いますが、恋愛ネタが多いので、恋人役などで男にも役割がありました。その男が今回いないということで、果たしてどんな話になるのか、そこがいちばんの楽しみでした。

 

 初日となる今日は先にAチームを観て、次にBチームを観ました。男がいなくて大丈夫なのかという点に関しては、全然問題なかったです。むしろ男女の恋愛に頼りすぎない、バラエティーに富んだオムニバスとなっていました。どれも面白かった。

 

 とはいえ、異性愛に同性愛に不倫などなど、君達の心の中は恋愛しかないのかとツッコミたくもなります。20代のデートがどうこうで一部のインターネットが盛り上がった直後だったので、まったく違う世界だなと醒めた視線になったのも事実。しかしよく考えれば、面倒くさい女性を描くなら恋愛が最もやりやすいと思うので、これはもう仕方ないのでしょう。

 

 AとBの両方を観て、特に好きだったのはBチームのダンスレッスンで始まる話です。冒頭のコミカルなシーンからは想像出来ない重みを後半にぶつけてきて、その後はなんか良い感じの話になっちゃって、うまくは言えないけれど『しゃーSHE♀彼女』らしくない作品でした。彼女の悩みは面倒くさくなんてなくて切実ですよ(それとも自分見誤ってる?)。3年付き合っていて、そこに気付かないなんて相手も鈍感過ぎるのではと思うけれど、それでも優しい彼女さんなので、これからさらにお互いをわかり合える関係を目指していけばいいのではないでしょうか(どこ目線アドバイス?)。

 

 よくよく考えると、「面倒くさい女性の話」ではないですよね、という作品もあります。事前に思わせぶりなツイートで期待を抱かせていた、豊永阿紀さんと天野なつさん2人による作品は、袋小路的な絶望感が漂っていて、怖いという感情を超えてくるものがありました。豊永さんが演じる問題の女性の狂信的な言動は、面倒くさいと言っている場合ではなく、他のカウンセリングとかを受けたほうがいいレベルだと思います。途中豊永さんが身を乗り出して、膝の上にあった旅行パンフを落としてしまうのですが、それにも気付かず我を忘れている様は、しゃーしいと軽く言っていいものではないです。豊永さんの最後の嘆きは、自分が周囲に理解されてないことへの嘆きなのか、どうしてこうなってしまったんだと自分自身への後悔の嘆きなのか、私にはわからなかったのですが、後悔の嘆きならばまだ救いはあるのではと思うけれど、救いがないのが『しゃーSHE♀彼女』なんですよね。あと蛇足ですが、自分ももう歳をとったおっさんだからなのか、やたら叫ぶ演技や演出はもう無理ですね……。豊永さんの叫びが真に迫りすぎていて辛くなります……。

 

 AとBの両方でやる演目もあるのですが、自分の悪い癖で、先にやったほうがその作品の正解と錯覚してしまうんですよね。今回だとAチームから始まったので、Aの後にBがやっても、やっぱりAだなと思ってしまいます。心友の話(親友ではなくて心友な気がする)は、間に挟まれた人の顔芸がとにかく素晴らしいです(AもBも)。あとみんな演技が過剰なのも笑えて最高です。Bでは豊永阿紀さんと山下エミリーさんが出たのですが、Aを観た後でネタを知っていたので、そこまで驚けなかったのが残念でした。とはいっても、お二人の方言での丁々発止は迫力がありました。何を言っているか全然わからなかった。他にも福岡ローカルネタが多くて、まだ福岡住みが浅い他所者には厳しかったですね…。箱崎がどこかわからない…。

 

 初日の感想はこんな感じです。山下エミリーさんと地頭江音々さんの演技は初めて観たのですが、演じているのに自然体のようなエミリーさん良かったです。音々さんはやたら遊技機に詳しくて笑ってしまいました。豊永阿紀さんはメールによると相当悩んでいたみたいですが、そんな悩みとか全然感じさせない貫禄があって、虚勢とも思えない堂々としているところが私が彼女を好きな理由のひとつです。

 

 無事初日が終わって、あと2日間どう変わっていくのか、今後も楽しみです。初日お疲れ様でした。