『しゃーSHE♀彼女2』

 福岡市美術館ミュージアムホールにて上演された舞台『しゃーSHE♀彼女2』を観ました。

 

 

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 公演期間は3日間で、AチームBチームに分かれてそれぞれ4公演の計8公演。自分は、

6/17 Aチーム初日とBチーム初日

6/18 Bチーム朝公演と夜公演

6/19 Bチーム千穐楽

の5公演を観ました。豊永阿紀さんがBチームなので、B全通です。チケット発売日は千穐楽しか買ってなかったのに、いつの間にかB全部のチケットが手元にありました。前回の『しゃーSHE♀彼女』は豊永さんがいるチームしか観なかったのですが、今回は地頭江音々さんの演技が気になってAチームも観ることにしました。

 

 初日のABを観た後に、勢いで感想をまとめました。2日目にBチームを観たら、初日の感想ブログで勘違いしているところを見つけたりして、かなりABを混同していることに気付きました。やはり初期衝動で書くと粗が多いですね。あと結構盛って書いてましたね…。

 

 

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 Bチーム面白かったです。観る度に体感時間が短くなっていきました。千穐楽なんて豊永阿紀さんが隣の部屋に向かって叫んだと思ったら、山下エミリーさんが天野なつさんと無言の対峙をしていましたからね(大袈裟)。何回も観て話がわかってくると、好きな作品でもここは怠いなと思ったりすることもあるのですが、この作品はそういう感情にならず、一気に最後まで駆け抜ける感じでした(4回しか観てないからかも)。

 

 繰り返し観ていると変化に気付いてきます。この舞台では山下エミリーさんが公演を重ねる毎に演技の固さがなくなっていったように感じました。エミリーさんは毎公演セリフを変える場面があるのですが、最後のほうはかなり楽しそうにやっていて、観ているこちらも楽しみになってきました。しかし、そのような変化というか成長を演劇作品に見出すのはどうなのか、成長を楽しむならアイドル現場でいいのではないか、という問いもあります。このアイドルの舞台の見方はずっと悩み続けていることなので、簡単には答えは出ませんね。

 

 エミリーさんも良かったですが、私の推しは豊永阿紀さんなので、どうしても豊永贔屓の観劇となってしまいます。オープニングで、豊永さんは隣の部屋のうるさい連中に大声で注意するのですが、まずジャブの注意を入れてから、次にこちらがビクッとするぐらいの大声で苦情を入れます。そこで観ている側も舞台に集中するスイッチが入ります。その豊永さんの声の威力がすごかった。まあ直後の酔っ払いエミリーさんで笑いに包まれてしまうのですが…。

 

 豊永さんは気性が激しめの役が多くて大変そうでした。エミリーさんとの罵声の応酬は見応えあったし、初日感想で書いたように何を言っているかわからないなんてことはなく、よく聞いたら罵倒の言葉がしっかり理解できました(わからないと思ったのはAだったのかな)。初日は訪ねてきた人の顔芸作品だと思ったのですが(最初に観たAの吉本一椛さん? の顔芸が素晴らしかった)、2日目以降はエミリーさんと豊永さんの表情も素晴らしいことに気付きました。ちょっとコント入っちゃってましたね。普段も怒ったらあんな感じになるのかな…。怖いな…。

 

 そして今回の豊永さんの白眉は、他人に依存している女性のヒステリー演技ですね。怖かった。本当に怖かった。目の奥に暗い空洞が見えた。私が豊永さんに感じている彼女の未知の部分の深さが、役に重ね合わされて、底知れぬ恐怖を与えていました。簡単には理解させないぞと思わせてくれる彼女の不可侵領域の広さ、それが本当かどうかわからなくても、そう錯覚させてくれる豊永さんの振る舞いが、私が彼女を好きな理由のひとつです。結局自分の受け取り方次第なのですが、その豊永さんの魅力が役に重みを加えていました。

 

 誰もが誰かに依存しているし、私だって例えば豊永さんに依存していないとは言い切れないわけで、依存がエスカレートして狂信者にならないためには、どう他人との距離感を適切に保ったらいいのかとか考えてしまいました。まあ、だとしても、自分はもっと他人に頼ることを躊躇わないほうがいいのでは、という思いもあるので複雑です(アイドルに過剰な依存はよくないけどね)。

 

 Bチームを観すぎて、初日に観たAチームはほとんど忘れてしまったのですが、やたら遊技機に詳しい地頭江音々さん面白かった。真面目そうで大学の知人をカモにする悪女っぷりが素晴らしかったです。個人的にAチームのほうが重い話が多い印象がありました。

 

 

 

夜公演が終わると、そこはナイトミュージアム

 

 

 

 本編終わりに女子会的なアフタートークがあって、そちらも面白かったです。共演者の恋愛トークに前のめり気味に食いつく山下エミリーさんが最高でした。Aチームの女子会アフタートークは見てないのでわかりませんが、Bチームは仲の良い雰囲気がすごく伝わってきました。あまりに面白いので、本編はどっちなんだと考えてしまうぐらいでした。

 

 女子会アフタートークで演者本人の性格をなんとなく知ってから再び舞台を観ると、解像度がまた違ってきます。特に普段がやばそうな津山愛理さんが、ですね。また、二宮絵梨香さんに対して声が小さい小さいと散々言われていたことを知ると、ダンスの場面で怒られている二宮さんを応援したくなってきます。私も二宮さんに発声を教わりたい。山口成美さんの忙しない手の動きも私は好きです。

 

 本編と女子会、どちらも面白かった。自分でも驚くぐらい絶賛の気持ちです。ただこの絶賛について考えると、初日感想で書いたように男性出演者がいない懸念がまずあって、それでハードルを低く設定していたから絶賛できている気がするので、それはそれでよくないよねと思います。それと同時に、少なくとも舞台上には男がいないことで、観客の私(男)は、女性だけの話に距離を保って観れたから楽しめた気がしないでもない。性別で受け取るものが変わることはなく、私が鈍感なだけという疑いはあるけれど、自分事にしづらかったのかもしれません。

 

 そのような感想が出てきたりもしたけれど、まとめると面白かったです。面白くて、考えさせてもくれる舞台でした。素晴らしい舞台をありがとうございました。

 

 

 

 

 

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