Tokyo 2020

 東京2020オリンピックが開催中です。競技は見たいけど、日本選手に対する狂信的な実況は聞きたくないので、配信で英語実況を流しながら見ています。英語分かりませんが。英語実況だと女性の実況も多くて新鮮です。彼らはオリンピックのことを「Tokyo twenty twenty」と言っていて、「トゥ、トゥ、トゥ」の語感も好きです。

 

 私はオリンピックの直前にEURO2020ツール・ド・フランスを見ていました。どちらも有観客です。満員のプスカシュ・アレーナでの試合を見て、やはりスポーツには観客が必要だなと感じました。おそらくですがそれらの大会も反対意見はあったはずで、しかし遠い日本にはそこまで伝わらずに、私などは安易に盛り上がっていました。そのような前科があるので、オリンピックに対しても強く開催反対を言えません。

 

 正直コロナ禍を別にしても、この暑い夏に開催しても大変だろうにと思ってますし、甲子園もそうですがこの季節はスポーツに向いてないです。そして無観客はやはり寂しいので、コロナ感染状況をコントロールできた後に有観客で開催してほしかった。またオリンピックに関連して様々な問題が次から次に出てきて毎日苛々しっぱなしです。しかもコロナに関係ない問題だから余計やるせなくなります。諸問題を引き起こした大元の原因は昭和のおっさんの古い価値観だと思っているので、これを機におっさんは絶滅してほしい。もう本当に『持続可能な魂の利用』を実現しなくてはいけないんですよ(そして私も消える)。

 

 話変わって、先日コロナウイルスのワクチン接種に行ってきたのですが、その接種会場では粛々とシステマチックに、それでも適度なホスピタリティでもって接種が行われていました。世の中殺伐としているのにこんなに親切な世界があっていいのかと驚くほどの会場の雰囲気でした。自分も特に問題なく接種することができました。幸いにも病院に行くことが滅多になく、久しぶりに医療の現場に触れたのですが、たとえほんの少しの時間であってもこのように医療の前線で頑張っている人達を見ると、手放しでオリンピックを喜べなくなります。危機的な状況に目を背けてメダルに一喜一憂している場合なのか、金曜日に拍手していればいいのか。その迷いの狭間で私はオリンピックを見ています。

 

 スポーツが好きな側か嫌いな側かといったら好きな側です。体を動かすのは得意ではないけれど、スポーツを見るのは大好き。だからオリンピックも好きです。夏季より冬季オリンピックのほうが好きです。普段はテレビで放送されないような競技を見るのが好きです。団体競技よりも個人競技のほうが好きです。点数を競うよりもとにかく速いほうが勝つ競技が好きです。期間中は環境映像みたいにずっと流しています。

 

 

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 自転車レースが好きなので、男子ロードレースのカラパス、タイムトライアルのログリッチとトム・デュムランにはグッときてしまいました。男子ロードレースは激坂あり、スプリントあり、心理戦ありと、ロードレースの面白さが存分に見れて、しかもその戦いを本場ヨーロッパと同じクオリティで中継してくれてたので、見ていて日本でのレースではないような気がしました。しかし中継に映る風景は田んぼだったり田舎のロードサイドだったりで、まさに日本の夏の風景なので不思議な感覚でした。絶妙なタイミングで抜け出して逃げ切ったカラパス素晴らしかった。TTはログリッチとデュムランの普段はチームメイト同士の復活劇がすごかった。ログリッチ圧倒的でしたし、デュムランの復活は泣けた。

 

 ロードレースやトライアスロンなどの過酷な競技に限らず、陸上やスケートボードなんかもそうですが、最終的に自分との戦いになる競技は一緒に戦う相手へのリスペクトが常に感じられて、試合後に健闘を讃えあうシーンを見ると、こちらまで晴れやかな気分になります。

 

 他によく見ていたのはセーリングやホッケーです。セーリングはどうしてバラバラな方向に進むのかと調べたら、風上に向かうときの戦略の違いなんですね。日本の試合だとバスケ女子の準決勝進出を決めた試合はすごかった。試合を決めた最後のスリーポイントは熱かった…。

 

 しかし試合を純粋に見ているというより選手にまつわる物語に感動しているようなときもあるし、そういう見方をしてしまう自分に嫌気が差します。オリンピックに関する報道が感動ポルノじみてしまうのも然もありなんという気持ちです。

 

 結局のところ、この状況下でオリンピックを見るのはとても複雑です。もっと純粋に楽しみたかった。今やるイベントではなかったよなと思いながら、それでも残りの期間も見続けると思います。