香川での『僕たちの恋の予感』公演と戸惑い

f:id:kiyc:20210505170715j:plain

 

 

 STU48の劇場船STU48号が残念ながら役目を終えるとのことで、現在STU48号の最後のツアーが瀬戸内を回っている。そのツアー『ありがとう!STU48号ツアー』の香川県高松市での公演を見てきました。

 

 

f:id:kiyc:20210505170740j:plain

 

 

 STU48を香川で見るのは5回目だ。香川で船の公演を見るのは2回目となる。もともと友人達と行った香川旅行で香川を好きになり、ひとりでも香川を旅行するようになった。そんな旅先でアイドルも見られたらいいなと思っていたところで、タイミングよくSTU48が現れた。なので私はいつも旅行のついでにSTU48を見るという感覚で会いに行っている。それはある意味、観光地の綺麗な上澄みだけを体験しているだけでもあり、瀬戸内に住む人に対して申し訳なさもあるけれど、いざ自分が瀬戸内で暮らせるかというとその勇気はない。

 

 私は瀬戸内の中では完全に香川推しなんですが(でもSTU48は甲斐心愛さん推し)、高松港で見るSTU48号がいちばん好きだ。高松港と瀬戸内海の島々を行き来するフェリーがSTU48号の横を静かに通り過ぎるのを眺めていると、この船も瀬戸内の一部と認められたように感じる。

 

 STU48号で見たのは『僕たちの恋の予感』公演。配信では何度も見た僕恋公演だったが、船で生で見るのは今回が初めてだった。幸運にも前方の良い席で見ることが出来て、最高の体験をした。やっぱり生で見ると良さが違う。

 

 少し前に見たMiKER!公演でも感じたことだが、ここ最近公演がよく見えるようになった気がして驚いている。錯覚かもしれないけれど、今までよりもステージを見る目の解像度が上がって、よりディテールが細かく見えるようになった。単純にMiKER!と今回の僕恋公演は前方の席で見えやすかったこともあるが、それなら以前も最前などで見ているわけで、その時よりも見え方がまったく違った。自分が甲斐心愛さん以外のメンバーにも目がいく余裕が出来ただけかもしれない。最前ではないけれどそこそこ近い席で、目の前に来たメンバーを見ることが多く、だからこそ様々なメンバーの良さに気付けた。とはいっても目の前から視線を外して逆サイドの心愛さんに視線を移すと、対角線上にも関わらず心愛さんと目が合ったりするので悩ましいところである。しかしそれでも気付けない時もあるわけで、先日のオンラインお話し会で心愛さんから、逆サイドからレスしようとしたら違うメンバーを見ていたと突っ込まれて、そんな優しさに申し訳なくなった。心愛さんの眼差しの先に私がいるならば、常にそれを真正面から受け止めたい。

 

 ずっと見続けていると、ステージに立っているメンバーへの思い入れが目の前の等身大の姿以上に彼女達を美化してしまう。ステージのどこに目を向けても、これまでの頑張りを想起して感慨深くなってしまう。卒業していくメンバーが多い中、残って活動してくれているだけで感謝の気持ちが大きい。

 

 

f:id:kiyc:20210505170855j:plain

 

 

 公演は楽しい。しかし楽しいと同時になんとなく複雑でもある。セットリストに関して、STU48の持ち曲が公演最後の新曲を除くと他には1曲もないセットリストにどう向き合っていいかわからない。STU48の曲を歌うSTU48を私は好きになったので、STU48の曲を歌わない公演を好きになれるのか心許ない。それはHKT48など他の48グループの劇場公演も同じで、私はシングル曲などわかりやすいところから入って好きになる流れが多いので、いざ劇場に行ったらシングル曲やグループを代表する曲は歌わずに、公演のストーリーに沿った曲を披露することに戸惑いがある。公演で見ることの出来るグループは、好きになったグループとはまた違うグループという印象にもなってしまう。その辺りの違和感は他の人は感じないのか私は気になる。好きなアイドルがいれば何を歌おうが気にしないのか、それとも始まり自体が劇場公演だったりする場合もあるのだろうか。

 

 STU48に関しては、これまでの陸上公演やゴゴリバはSTU48の持ち曲をたくさん歌ってくれるセットリストだったのでそのような違和感はなかった。初めて出会った公演を親と信じてしまうオタクの習性で、陸上公演で育った身としては、ゴゴリバは瀬戸内の雰囲気に満ちていてこれまでと地続きだったけれど、僕恋公演はその繋がりが感じられない。自分が鈍感になっただけなのか。

 

 など考えてみたけれど、なんとなく距離を感じてしまうのは、私のSTU48を好きな気持ちが以前よりは離れ気味だからなのが本当の原因かもしれない。思い入れが浅くなったことで、新しく出会った僕恋公演セットリストに対する距離感が大きかったのだろう。

 

 個人的には、私は『となりのバナナ』という曲が嫌いで(曲が嫌いというよりこれを選曲する思考が苦手といったほうが正しい)、甲斐心愛さんが歌おうとまったく好きになれないのだけど、最後に大好きな『この涙を君に捧ぐ』が歌われたので、その不満があったとしても全体としては素晴らしかったという気持ちで締めることが出来た。甲斐心愛さんも前半の元気いっぱいに踊っている時間や、後半のシリアスで尖ったパフォーマンスが素晴らしく(特に遠くまで突き刺すような視線が物語る曲の解釈が好き)、相対的にユニット曲はどうも評価しづらい。私がナイーブなだけかもしれないけれど、自分が心愛さんに求めたいものが『となりのバナナ』にないというか、やはりこの曲は好きになれませんね。

 

 この公演は岡田奈々さんプロデュースだが、私から見えるSTU48と、岡田奈々さんから見えるSTU48のズレが、僕恋公演を通して露わになったように思う。などなど考えつつも、実際のところ私がいちばん熱量を持って追いかけていた頃のSTU48が見せようとしていたものと、今STU48が見せようとしているものに違いがあって、私は過去のほうに思い入れがある懐古厨だから今の僕恋公演にしっくりこない、というところが正解かもしれない。やはりこれだけ人が辞めると私も冷静になる。

 

 

f:id:kiyc:20210505170952j:plain

 

 

 MiKER!もそうだったが、僕恋公演も時間が過ぎるのを感じないほどあっという間に終わってしまった。前半は楽しく、後半はかっこよく、配信では何度も見た僕恋公演だったが、初めて生で見ると受け取る情報量が桁違いで圧倒された。やはりライブを体感すると、STU48を好きだなと再確認してしまう。運営の信頼出来なさと反比例するように、メンバーを好きな気持ちが見続けるほどに増していく。

 

 新型コロナが厳しい状況で迷ったが行ってよかった。本当は23日の予定だったがよくよく考えて12日に切り上げての旅行。事前には考えていなかったが、やはりSTU48号をもっと見ておきたいと思い、高松の翌日はチケットもないのに宇野港までSTU48号を見に行った。宇野港の静かな青い海と青い空にSTU48号の白と青の船体がよく映えた。こうやって見られるのもあと少しで、瀬戸内海を往くSTU48号が見られなくなると思うと寂しい。

 

 毎回瀬戸内旅行はSTU48のおかげで楽しいものとなっている。感謝しかない。見れば見るほどSTU48の皆さんには幸せになってほしいと願ってしまう。瀬戸内の空のように晴れやかな道だけを歩いていってほしい。その道で出会う幸せのほんの一部でも共有出来たらなと思う。楽しい時間をありがとうございました。

 

 

 

 

f:id:kiyc:20210505171041j:plain

f:id:kiyc:20210505171549j:plain

f:id:kiyc:20210505171607j:plain