マラソンと声援

 2月、人生3回目のフルマラソンを走ってきた。走ったのは熊本城マラソン。最初に結果を書くと、記録は3時間55分。自己ベストには数分足りなかったが、それでも去年の熊本城マラソンのタイム4時間半を30分以上更新できた。

 

 初めてのフルマラソンは去年の熊本城マラソンだった。HKT48の市村愛里さんがゲストランナーとして参加するとのことで、自分も思いきって初マラソンに挑戦した。寒さと厳しい坂道がきつかったが、初マラソンはなんとか完走できた。その後は、去年秋の福岡マラソンを走って、そして3回目は再び熊本城マラソン。今回は市村愛里さんは出場しない。アイドルオタクとしてではなく、ひとりのマラソンランナーとして私は熊本にやってきた。熊本に着いたとき、なんだかホームに帰ってきた気分だった。サクラマチクマモトの上から熊本の街を見守るくまモンも親しく思えてきた。

 

 同じマラソンはひとつとしてない。毎回違う厳しさが自分を襲ってくる。そしてマラソンはどんなに万全を期していても、最後は必ずきつくなる。どんなマラソンも最後は気持ちの勝負になる。強い気持ちで必死にならないと完走できない。その絶対に完走するという強い気持ちを最後まで保たせてくれたのが、沿道から届いてくる声だった。

 

 完走できて思うのは、決して自分ひとりの力だけで完走できたわけではないことだ。今年は本当に声援が大きかった。声出し応援解禁とのことで、スタートからゴールまで声援が本当に大きく力強かった。私は市村愛里さんの生誕Tシャツ、胸に大きく「村民」と書かれたTシャツを着て走ったが、それを見た沿道の方々から、数えきれないぐらいたくさんの「村民がんばれ!」という声援をいただいた。その声を聞くと、本当に力が湧いてきて、疲れていた身体が少しだけ力強く動くようになった。嘘みたいだけど、本当に声援で足が動き出す。

 

 マラソン個人競技だが、走っているとき、わたしはひとりではない。一緒に走るランナーと助け合うこともあれば、沿道の声援から元気をもらうこともある。皆で力を合わせてゴールを目指すスポーツだ。最終的に自分自身との戦いとなる孤独はあれど、私の周りにはたくさんの助けてくれる人達がいた。今年の熊本城マラソンは、過去最高に声援に背中を押されて完走できたようなものだった。お客さんやスタッフ、ボランティアの方々、そして村民Tを作ってくれた市村愛里さんに感謝しかない。ありがとうございました。

 

 沿道の声援は私を変えた。1年前にマラソンを経験してからというもの、アイドルオタクとしては、これまで以上にしっかりコールするようになった。自分はあまりコールするタイプのオタクではなかったが、声援のありがたみを実感したら、アイドルに対してコールすることがとても大切だと私も思い直した。それからはHKTの劇場公演でもメンバーの名前をしっかりコールするようになった(実際は私の初マラソン以前の劇場はコロナ禍で声出し禁止だったけど)。スポーツの応援とアイドルの応援は正確には違うかもしれないし、これはオタクの傲慢でもあるけど、コールがアイドルを生かしているのではと思うようになった。

 

 とはいっても、私の声はくぐもって通らないので、コールが届いてないかもしれない。届かない声に意味があるのかわからないけれど、自己満足でも声を出していく。とにかくまっすぐ応援する。マラソンを走ることで生きていく姿勢を問いただしていく日々である。