豊永阿紀さんの部屋と繋がる私の部屋

 それは同じ部屋で生活しているような、お互いを認め合っている空気が私の部屋にも染み込んできた。

 

 HKT48の皆さんは忙しい。それは #劇はじ が差し迫っているからだ。他にも私達にはまだ知らない仕事をしているようでもある。#劇はじ の脚本を担当する豊永阿紀さんも忙しさは例外ではない。公演はなくてもなんだかんだ忙しそうだ。

 

 そんな豊永さんも夜にshowroomを配信している。他にも多くのHKT48メンバーが配信していて、2月のHKT48showroomを頑張る月間らしい。昨日の豊永さんはかなり忙しいのか、仕事の作業配信となった。黙々とPCに向かってキーボードを叩く豊永さんを映すだけの画面。コメントも時折チェックするのみで、彼女は彼女で仕事に集中しているのだなと思い、私も配信を流しながら本を読み始めた。

 

 それは静かな夜だった。聞こえてくるのはカタカタとリズミカルな打鍵音とたまに漏れる豊永さんの独り言のみ。その音を聞きながら読書していたら、いつの間にか私と豊永さんが同じ部屋にいるような感覚になってきた。

 

 豊永さんの部屋の音が私の部屋に染み込む夜。不思議なことに、それぞれがそれぞれのやりたいことをやっていて、向き合っていないからこその親密さがあった。思い返すと、視聴者は豊永さんにshowroomらしい配信を求めずに見守る雰囲気があった。そしてそれを信頼している豊永さんもいた。新参の私は、長く活動を続けてきたアイドルとファンの関係性をそこに垣間見た。そのお互いを認め合っている空気が私にも伝わって、同じ部屋にいるような錯覚を受けたのだろう。

 

 しかしこれは、私が豊永さんを好きだから感じる特別な感覚なのだと思う。誰でも同じようにはいかない。

 

 特段何もない、それぞれの生活が偶然showroomで繋がったような時間は私をとてもリラックスさせてくれた。2月はたくさん配信してくれるそうだから、また同じような雰囲気が訪れたらいいなと期待しながら、今日も夜を過ごす。