甲斐心愛さんに光を見た話

 アイドルを見る理由、この瞬間に出会うためにアイドルを見続けているといっても過言ではないシーンが、アイドルオタクを続けていると稀に訪れる。その一瞬に出会うために私はここにいる、強いては私が生きているといったら大袈裟だけど、そんな場面に私は今年も出会えた。

 

 それは画面越しの一瞬だった。2020321日、無観客で行われたSTU48『僕たちの恋の予感』配信限定公演、その本編最後の曲『この涙を君に捧ぐ』でのことだ。2番サビを歌い終わって間奏に変わる瞬間、1列目にいた甲斐心愛さんが両手を広げる振付で、ほんの気持ちだけ胸を張った。

 

 意識してか無意識か、心愛さんのちょっとしたこの動作に彼女のアイドルとしての心構えのようなものを感じてしまい、私は感動してしまった。私はアイドルとして生きていくぞといったような宣言にも受け取れて、それはこちらの勝手な妄想だけど、その瞬間の心愛さんは光だった。

 

 今読んでいる小説ではないけれど、出会う光が灯台となって私の霧に隠れた不透明な人生を照らしていく。それは彼女から自然に出てきたものだからこその輝きで、それ故に揺らぐことなく遠くまで届き、彼女の灯りに導かれるように私は今日も生きている。実際その瞬間の心愛さんを毎朝見てから仕事に向かっていた。彼女のほんの僅かな動きが私を大きく救っている。

 

 心愛さんのかっこいいシーン可愛いシーンはたくさんあるけれど、これほどさりげなく彼女の美しさを表したシーンはそうそうない。そんなことを考えていたら、偶然にも数日前の心愛さんのshowroomで本人によるダンスの見所解説があって、私が思っている以上に心愛さんは意味を考えながら踊っていることを知れて有難い配信だった。神は細部に宿るということを心愛さんもわかっている。『思い出せてよかった』の右手が記憶だという彼女の解釈が素晴らしくて、これからも心愛さんの細かな動きにもっと集中して見ていきたい。

 

 そんな感じで2020年も甲斐心愛さんに救われた1年だった。本当にありがとう。

 

 

 

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