私と豊永阿紀さんと『君のことが好きやけん』

 HKT48の10周年記念特別公演が11月26日と27日に開催されました。

 

 活動が10年続くことは本当にすごい。10年は相当長いですよ。長く活動を続けているアイドルの例に漏れず、HKTも周年公演への力の入れようがすごいです。そんな記念の公演で、たくさんの人に見てもらいたいと思っていても、劇場で公演することにこだわっていることも好感が持てます。

 

 なので当然公演のチケットは当たらず。これはHKTを長く見てきたファンのための公演なので、新規はチケットが当たらなくても文句は言えません。

 

 そうはいっても諦めきれない自分がいます。26日は最初こそ配信で見ていたんですが、居ても立っても居られず、途中で劇場に向かっていました。10周年の特別な企画として、公演写真を購入するとくじが引ける企画があり、当選すると最後のお見送りにだけは参加出来るとのこと。それに参加してみようと劇場に行きました。しかし到着するのが遅くて、既に当たりくじは全部出た後。のんびりし過ぎましたね。

 

 仕方なく隣のマークイズのスタバでフラペチーノを飲みながらDMM配信を見ました。

 

 26日の前期公演は期別で始まりました。詳細なレポは他の人に譲るとして、私は4期推しなので4期について述べたい。4期が歌ったのは『君のことが好きやけん』でした(タイトル合ってますか?)。私も大好きな曲です。何故ならSTU48で数えきれないほど聴いてきたから。そしてHKT48、特に豊永阿紀さんと関連して、とても思い入れが深い曲でもあります。

 

 突然過去に遡りますが、私が豊永阿紀さんのパフォーマンスを初めて意識したのが2019年のTIFスマイルガーデンでの『君のことが好きやけん』でした。現場ではなく録画で見ていて、曲の最後の場面でカメラに抜かれた豊永さんの表情が最高にかっこよかった。レンズのその先の画面の向こうにいる人をグッと離さない視線があった。その視線に私は惹きつけられて、君好きだけを繰り返し見続けた記憶があります。それまで文章や写真でしか知らなかった豊永さんの、アイドルとしての本当の姿を見れた気がして、それまでよりも豊永さんへの興味が高まりました。

 

 10周年公演の君好きは、私にあの夏を思い起こさせてくれました。結局TIFを見ても、実際に福岡に遠征するまでには至らなかったのですが、あの時があったから今があるのだと私は思っています。TIFの時と同じく、この公演でも最後はセンターに豊永さんがいて、カメラも豊永さんを捉えていて、豊永さんも真っ直ぐにカメラを見据えていて、その全ての組み合わせが奇跡を生んで私に感動を届けてきました。この1年間HKTを見続けてきた結果が、想像を超えて、さらに過去の記憶を呼び起こし私を揺さぶってくる。予想外の伏線回収の感がありました。

 

 このような節目の公演は、アイドルとファンが同じ過去を共有したことを確認するための時間でもあります。あんなことがあったね、こんなこともあったね。昔話に花が咲きます。そんな長く見続けてきたファンのための公演です。

 

 しかし私の君好きの思い出は、私の一方的な思い出です。豊永さんにとってはただの暑い夏の一曲でしかなかったのかもしれない。そこにまだ新規、たぶん今後もずっと新規だと自覚している自分の寂しさがある。こればかりは出会いのタイミングだから仕方ないと思っても、皆が懐古で盛り上がっている時に一歩引いてしまう自分がいます。見続けていけば、この劣等感も解消されることがあるのだろうか。

 

 豊永さんは『向日葵』も素晴らしかった。下野由貴さん上野遥さん上島楓さんという信頼し合っている4人で歌った『向日葵』は、新規ファンの私にもさすがに文脈がわかった上での素晴らしさがありました。上島楓さんが卒業するまでの残された時間、この瞬間を忘れられないものにしようと、互いを思いやる4人の息遣いが痛いほど伝わってきた。しかしそれでも演者や熱心なファンと私の間では、このパフォーマンスに対する思い入れの深さに差があるはずです。私はまだまだ知らないことが多すぎる。知るよりも先に、集った仲間が散り散りになっていく悲しみ。光よ離れないでくれと、叶わない願いを込めて見ていました。

 

 歌われる曲に対して、アイドルから見てもファンから見ても、同じ景色、同じ空気、同じ感情があるのは幸いです。いつか自分にもそういう記憶が生まれるのを願って、11年目のHKT48を見続けると思います。10周年おめでとうございます。

12月

 12月。書いても書いても書きたいものが溜まっていく。書きたいものが文字として産み落とされる速度よりも書きたいものが積まれていく速度のほうが圧倒的に速い。テトリスでいうと天井に届くまであと一段ぐらいのぎりぎりの状況でなんとか凌いでいる感じ。

 

 ライターでもないし、好きで書いているだけなのに、気持ちは締切に追われるライターと同じ感じかもしれない。次のあのライブまでにこのブログを書き終わらないと、また溜まってしまう。そんな焦燥感と共に生きている。

 

 そこまでして何故書きたいのかというと、やはり忘れてしまうからだと思う。いや、書いている時でも既に忘れかけている。何かのイベントの感想を書く時も、その当日の気持ちそのものではなく、当日の気持ちを思い出そうと努めて出てくる記憶の断片でしかない。それでも書かないよりはいいと思い、書き留める。忘れてもいいように書き留める。写真も同じ。

 

 なんとか書いたとしても、自分の文章に全然納得がいかない。書いている時は、これはいい感じなのではと思っていても、いざ公開すると、本当につまらない文章に見えてくる。圧倒的に軽く浅い。そうやって書いて公開して後悔までがいつもワンセット。もっと面白く書きたいと、書き方の本を読んで学んだりもするけれど、そう簡単には面白くならない。

 

 追い討ちをかけるように、最近読んだ『邦キチ!映子さん』の花束回に出てきた映画感想ブログを書いている池ちゃんというサブカル野郎にかなりやられてしまった。そもそも私は『花束みたいな恋をした』で重傷を負っていて、その『花束〜』を取り上げた邦キチでさらに傷が深くなってしまった。池ちゃんが自覚している自分の書くブログがつまらないという悩みは、そのまま私にも当てはまる。自分は池ちゃんの劣化版…。だけど、つまらなくても書くしかないんですよね…。そんな辛さを抱えた12月。

 

 

 私にとどめを刺したツイート。

 

 

 

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最高の豊永阿紀さん生誕祭

 11月18日に博多なないろ公演ピンク&ブルー、豊永阿紀さん生誕祭を見ました。念願の推しの生誕祭です。なんとか当日券を買えたので劇場で見させていただきました。本当に、最高の生誕祭でした(最高しか言えないおじさん)。

 

 これまでも何回か48グループの生誕祭は劇場で見たことがありましたが、所謂推しの生誕祭はこれが初めて。STU48甲斐心愛さんの生誕祭は毎年外れていたので、初めての推しの生誕祭は緊張しました。最後列でも見れるだけで感謝。もちろん正装のとよぬいバースデーTシャツで馳せ参じました。

 

 今回の豊永さん生誕祭がチームブルーメンバーの初めての生誕祭でした。通常運転でもやばい勢いで盛り上がるブルーが、果たしてブルーメンバーの生誕祭だとどこまでリミッターが外れるのか、期待しかありませんでした(無観客でやった松岡はなちゃん生誕祭の『ハイテンション』が私は大好きです)。

 

 ライブはいつも以上に溌剌とした豊永さんでした。新しくセットリストに加わった『私たちのReason』が見る度に好きになっていきます。弓を射る振付の時の豊永さんはビシッとした動きが凛々しくてかっこよかった。豊永さんを見ようとすると視界には山下エミリーさんも入ってきて、この出会いは奇跡と歌う彼女の姿に、オタクは奇跡とか運命が大好きなので最高な気持ちになります。前回の公演ではやらなかったエミリーさんのABC自己紹介が復活して、この自己紹介が大好きなのでうれしかった。

 

 ライブはもちろん楽しいです。しかしブルーを見ていると、どうしてもMCについての感想に偏ってしまいます。何故ならブルーのトーク戦闘力はHKT最強だから。

 

 いつものように村重杏奈さんが面白いのは言わずもがな、この日の生誕祭では川平聖さんが大爆発していました。積極的に話す聖さんにみんな驚きつつも、その一生懸命さが微笑ましいを超えて笑いを誘うところに聖さんの良さがあると思います。

 

 特に『ハイテンション』前のMCは過去最高の盛り上がりといっても過言ではなく、私の周囲含めて笑い死にそうでした。話しても話しても話し足りない聖さんに対して、村重さんが「今日すんげー喋るじゃん」とツッコんだはいいけれど、当の聖さんは自分のことだと気付かずに後ろを見やって、村重さんに「お・ま・え〜」と追い打ちをかけられる場面は芸術かと思うほど素晴らしかった(DMMではその肝心の聖さんが映ってなかったのが残念)。この日は聖さんの勢いもあり、村重さんと聖さんのバチバチが良い方向に火花が散っていて、ブルーのネクストレベルを感じました。

 

 豊永さんの生誕祭なので彼女の話題が多く、これまで選抜で2列目より後ろになったことがないのは初めて知りましたがすごいことですね。改めて自分は人気メンバーを好きになったんだなと実感しました。豊永さんが何度も繰り返し言っていたように、初期からのファンの根強い応援があるからこその現在のポジションなので、自分みたいな新規は古参の慣らした道を楽に歩かせてもらってるわけでもあり、昔からのファンには感謝しかありません。

 

 生誕祭だからということもあって、豊永さんの今日は私が主役です! と胸を張ってステージに立っている姿が本当に可愛くてかっこよかったです。祝い甲斐があります。周りからの愛を躊躇なく受けとる豊永さんだから、さらに愛に恵まれるのでしょう。

 

 豊永さんの生誕スピーチは長いらしい、と最近知ったのですが、実際に今回聞いてみたら全然長さを感じませんでした。好きですからね。何時間だって聞いていられます。私が思う豊永さんのこの1年の大きな出来事というと、劇はじとミュージカルが挙げられますが、豊永さんもこれらに言及していて、スピーチで取り上げるほど彼女が全力で向き合った作品を、こちらも全力で受け止めることが出来たのは幸いだったなと思います。HKT48を追いかけていると、なんで地元のアイドルを東京まで見に行かなければならないのかと思うこともあるけれど、豊永さんのミュージカルに関しては本当に東京まで遠征してよかったです。

 

 豊永さんは会えない期間があっても、ファンの人達とは、私とファンひとりひとりではなく私達という関係になれたと言っていました。自分はまだそこまでいけてない感覚ですが、いつかはそう思える時が来るのかなと、それまで見続けたいです。会えなくても豊永さんはブログだったり写真だったり配信だったり、いろいろな形で発信し続けてくれています。常に何かしら届くもの、ワクワクするものがあるから、握手会のような個人的なコミュニケーションがなくても私は好きを続けていられるのでしょう。そしてその中身はもちろんのこと、自分の声を届けることへの情熱に私は引き寄せられているのかなと思います。

 

 ここ最近はメンバーの卒業発表が続き、まさかとは思うけどまさかないですよね、といった不安が正直なところありました。豊永さんなら大丈夫と思っていても、気持ちがネガティブな方向に傾くと、絶対大丈夫なことなんてこの世にはないと確信も揺らぎます。当日も、自分は最後列で見ていて、近くには家族らしい人達が座っていて、これはもしやフラグではと緊張しました。

 

 そんな私のしょうもない心配は杞憂に終わり、豊永さんはこれからもHKT48で活動を続けると力強く宣言してくれました。あまりにも力強いので、自分以外にもそういう不安を抱いている人の存在を豊永さんはわかっていて、そんな彼らを安心させたかったのかもしれません。HKT48に限らずですが、新しい目標に挑戦するためにアイドルを辞める選択をする人も多い中で、豊永さんはアイドルでありつつ自らの活動の領域を広げようとする道を選んでくれたことがとてもうれしかった。22歳の豊永さんも期待しかないです。

 

 最高の生誕祭でした。推しの生誕祭がこんなに楽しいなんて、これ以上幸せなことがあるでしょうか。推しの生誕祭だから無条件に私は幸福なのか、誰がどう見ても豊永さんの生誕祭が良かったのか、私にはわかりません。言えるのはあの時間の劇場は溢れるほどの幸せに包まれていました。みんなずっと笑っていたし、この先も笑顔が絶えない未来であってほしい。いつかのストーリーの上島楓さんだけでなく、豊永さんに関わるすべての人も、笑い合ってる未来が似合う私達だと思います。素晴らしい生誕祭をありがとうございました。あらためて22歳おめでとうございます。大好き。

 

 

 

 

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ブルー&オレンジ再び、そしてあかりさんの光り溢れる生誕祭

 11月16日、博多なないろ公演ブルー&オレンジ渡部愛加里さん生誕祭を見ました。上野遥さんに続いて、2回目のブルーとオレンジによる生誕祭です。

 

 

kiyc.hateblo.jp

 

 

 以前のブログで書いたように、私はブルーとオレンジを対照的なチームとして見ていました。個で魅せるブルーと、チームワークで圧倒するオレンジ。

 

 再び同じ組み合わせで見れたので、今回はブルーも全体を見るように心掛けました。そのように見たらブルーもダンスが揃っているんですよね。驚きました。アイドルだから当たり前といえば当たり前なのですが、今までダンスが揃っているという観点でブルーを見たことがなかったので、とても新鮮でした。

 

 しかしブルーが終わってオレンジが始まったら、さらに驚いたことにオレンジは異常なまでにダンスが統一されていました。オレンジさんごめんなさい。やはりオレンジはすごかった。とはいっても、これもオレンジのパフォーマンス重視のチームという先入観があるからそう見えているだけかもしれません。

 

 ブルーはやたらと歌詞を変える『ハイテンション』でもわかる通り、自由に好きなようにパフォーマンスするのがブルーの良さです。それぞれの個性のぶつかり合いがブルーをブルーたらしめています。対してオレンジは、上野遥さんのリーダーシップによって皆がひとつのパフォーマンスイメージを共有しているような雰囲気があります。その統率されたステージはグループアイドルのパフォーマンスの理想形です。

 

 どちらも素晴らしい。オレンジの綺麗に揃ったダンスも好きだし、ブルーみたいに己の武器を信じてステージでバトルロワイアルを繰り広げるのも見ていて楽しい。いろいろな楽しみ方が出来るのが博多なないろ公演の良いところだと思います。ブルーとオレンジの組み合わせを見るとそれがよくわかります。

 

 他のチームからブルーは破天荒過ぎとよく言われますが、実は(?)チームワークも抜群で、攻める人もいれば守る人もいます。攻めっぱなしで守備に貢献しない田島芽瑠さんと村重杏奈さんのバランスを取るために、ブルーでは山下エミリーさんと栗原紗英さんが攻守に奮闘しています。去年ブルーを見始めて驚いたことのひとつに、栗原紗英さんの的確なコメントが挙げられます。それまでおっとりしているイメージしかなかった紗英さんが、MCでは絶妙なタイミングでツッコミを入れたり、言葉は少ないながら確実にその場の雰囲気を良い方向に持っていくことに気付いて、ちょっと感動した記憶があります。エミリーさんはブルーのリーダーとして公演を滞りなく進めるために、収拾のつかなくなった場面をまとめようと頑張るのですが、たまに気が抜ける瞬間もあって、その落差が可愛いです(急にサッカーで例えてすみませんが、自分的イメージは紗英さんがボランチでエミリーさんがCBです)。しげさんは攻め続けても常に冷静な視点を忘れないので、これが売れるための技術かといつも感心します。このようにブルーはバラバラなようでいてしっかりチームとして機能しています。ブルーを見ていると、ここは攻めのタイミングと勘付いた豊永阿紀さんや川平聖さんが前に出れば周りはしっかりフォローに入るし、皆がそれぞれのくせの強さを理解しているからこそのチームワークの存在を感じます。このような連携を見るのもブルーの楽しさです(ここまでずっとMCの話でそれはそれでいいのか?)。

 

 ブルーが好きだからブルーの話に偏ってしまいますが、この日の主役は渡部愛加里さんです。豊永阿紀さんを好きになると自然とあかりさんにも詳しくなってきて、いつしか気になる存在となっていました。ドラフト3期ということは、STU48の沖侑果さんや中村舞さんと同期。もしかしたらAKB48の握手会でやってた、大勢のドラ3と一気に握手した圧巻の無料握手会で自分もあかりさんと握手していたかもしれません(誰が誰だかわからず自分も握手してた)。STUのドラ3は加入初期から見ていますが、なんだかドラ3は実際の活動期間と体感の活動期間にズレがあって、若手なのかベテランなのか自分でも掴みあぐねています。

 

 渡部愛加里さんはRESET公演でよく見るようになり、アイドルという職業に愛されているあかりさんは、誰もが言うようにいつもキラキラしています。本当に眩しい。だからこそ生誕祭のスピーチで、弱気な時もあったと告白したのは、もちろんあかりさんも人間だからネガティブな時もあるだろうことはわかりますが、それでも驚きました。側からは順風満帆に見えるあかりさんでも悩むことがあるのですから、やはりファンから見えるのはアイドルのほんの一側面でしかないのでしょう(熱心なファンはわかっているのかもしれませんが)。

 

 生誕祭の司会は、あかりさんに慕われている豊永阿紀さんでした。そわそわと緊張している様子の豊永さんは初めて見たので新鮮で、豊永さんでも緊張が表に出ることがあるんですね。生誕祭はその人をいちばんに推している人が見るべきだと私は思うので、これまではなるべく推し以外の生誕祭は避けてきました。しかし今のHKTは生誕祭ばかりで、生誕祭を避けたら避けたで卒業発表なので、自分の生誕ポリシーを守っていたら心穏やかに公演を見る機会がなくなってしまうと思い、生誕祭にも入るようになりました。しかしこうやっていろんな人の生誕祭に入ってみるとそれぞれ雰囲気が違って、やはりファンは推しに似るということがわかります(自分はわからない)。そして親しい人を祝う豊永さんを見るのも幸せなことに気付きました。生誕祭は誰を見ても幸せになれます。すべてが良い。

 

 あかりさんらしい暖かい光に溢れた生誕祭でした。17歳もたくさんの愛に恵まれる1年となることを願っています。素敵な生誕祭をありがとうございました。

 

 

 

 

 

 
 
 
 
 
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回る君達は光となる

 11月2日に博多なないろ公演、チームパープルとチームレッドの公演を見ました。新しいセットリストになった博多なないろ2期において、その変更によってさらに好きになったのがこの2チームです。パープルもレッドも新たに追加された曲がどちらも自分好みで、本当に見ていて楽しい。

 

 私はアイドルが輪になって踊るシーンが大好きです。アイドルだけの閉じた空間、完全にオタクを輪の外に追い出した花園としてのステージ。輪になってメンバー同士がアイコンタクトしている時の、お互いを信頼しあっている空気が好きです。あの瞬間に出る笑みはアイドル同士、仲間だからこその信頼感があります。

 

 とはいえ、アイドルはファンがいなくては成り立たないとはよく言われることです。それはわかっているのですが、オタクの声が届かない彼女達だけの世界だけを見たい欲があります。その一方で、自分もアイドルからのレスを欲しがってしまったり、私個人を認識されたいといった欲もあります。アイドルだけの世界を希求しつつ、欲深い自身と向き合う日々です。

 

 博多なないろ公演のパープルは『初恋至上主義』のサビで輪になって回ります。その輪の雰囲気が素晴らしい。勢いのある輪の回転が、その遠心力でもってパープルの輝きを力強く放ちます。見ている私は、このままずっと回り続けてほしいと、叶うことのない願いを胸に抱いてしまいます。その『初恋至上主義』が素晴らしすぎて大団円みたいなフィナーレを迎えてからの『早送りカレンダー』なので、こんなに楽しい時間がまだ続くのかと幸せのオーバーフローが起こります。

 

 レッドも回転こそしませんが、『僕だけのSecret time』で輪になります。仕方のないことですが、輪になると客席に背を向けなければならないメンバーが出てきます。なので輪の雰囲気はこちらに顔を見せているメンバーからしか窺い知れない。『僕だけのSecret time』では客席から顔が見えるメンバーは松岡はなさんです。この時のはなちゃんの表情が毎回最高に可愛い。この瞬間だけステージが楽屋のような雰囲気になります。そこにはお互いを信頼しあっているからこその笑顔がある。このはなちゃんの笑顔を見ると、ずっと幸せでいてほしいと願ってしまいます。

 

 そして私がレッドを大好きなのは、何よりもアンコールで歌われる『ハッピーエンド』が素晴らしいからです。セットリストを考えた下野由貴さんによると、アンコールで歌いたい曲を運営に提出しても、ことごとく他の公演で使われていて却下、悩んだ末の『ハッピーエンド』だったらしいのですが、この選曲が素晴らしい。この日、私はちょうどセンターゼロズレの席で見ていて、ステージにまっすぐ視線を向けると松岡はなさんが歌っていました。『ハッピーエンド』の最後で微笑むはなさんが、歌詞と相まって笑顔なのに切なそうで、それがこの場の出会いをとても貴重なものと感じさせてくれて、今この瞬間を大切に受け取らなければとステージを目に焼き付けました。

 

 しかも今、『ハッピーエンド』に新しい、しかし悲しい輝きが生まれつつあります。『ハッピーエンド』はそのタイトルの通り、終わりというより終わり方を歌った曲です。始まった物語にどう幕を引くのか、そこに焦点を当てた曲です。この日も『ハッピーエンド』で締めくくられ、満ち足りた気持ちで公演が終わろうとした最後、清水梨央さんからHKT48卒業の発表がありました。幸せの頂点から一気に急転落下、なんとか平静を保つのが精一杯でした。チームレッドを見続けて、やっと清水梨央さんの良さを気付き始めたところだったので寂しい。言葉を失ってしまった劇場からの帰り道、頭の中ではずっと『ハッピーエンド』のサビがリフレインしていました。

 

 「涙もあっていいけどちゃんと笑顔で終わらせてほしい」と歌う『ハッピーエンド』は、図らずもチームレッドと清水梨央さんのための曲となってしまいました。偶然というには出来すぎな選曲です。春のチームグリーン小川紗奈さんと『大好きな人』を思い出します。私はなんだかんだと別れの曲を好きになってしまうのですが、いざ現実の別れを前にすると、曲が好きとか言っていられる場合ではありません。これからは『ハッピーエンド』を聴く度に、この日を思い出す予感がします。

 

 幸せと悲しみが同居した公演でした。輪になり光り輝く彼女達から、もうすぐひとつの星が離れることを考えると、別れはまだ先だと思っていても悲しい。しかしそこには輪が生んだ遠心力があるはずです。どこよりも遠くに行ける力を得ているだろう清水梨央さんの勢いを、あと何回見れるのかわからないけれど、遠くから見守ろうと思います。素晴らしい公演をありがとうございました。

 

 

 

 

 
 
 
 
 
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鮮やかな対比として浮かび上がったブルーとオレンジ

 少し昔の話になりますが、10月26日にHKT48の博多なないろ公演、チームブルーとオレンジの公演を見ました。今回はその感想です。久しぶりにHKTの公演を見ました。チームブルーに至っては、最後にブルーを見たのは9月、村重さんの卒業発表で驚いた公演以来ですから約1ヶ月ぶりです。ご無沙汰しておりました。この公演は自分の見方も含めて、両チームの違いがかなり表れた公演だったので劇場で見れてよかったと思います(DMMで見ただけならこれも書かなかった)。

 

 映像表現の用語で「ティール&オレンジ」というものがあります。

 

ティール&オレンジ」とは、写真を青緑(teal)とオレンジ色に偏らせる技です。

色作りの考え方としては、ひとの肌などが含まれる中間から明るい領域をオレンジ色に、暗い領域を青緑色に偏らせます。これにより、人物は暖かみのある肌の色、シャドウはその反対の色になるため、人物の存在感が増すというわけです。

helpx.adobe.com

 

 

作例を見ると、所謂映画っぽい雰囲気になります。

 

 何故ティール&オレンジという言葉を出したかというと、今回見たブルーとオレンジの博多なないろ公演がまさにティール&オレンジのような相互に引き立たせる関係でパフォーマンスされていて、両者ともに素晴らしかったからです。

 

 先にチームオレンジについて書くと、まずそのダンスに驚きました。オレンジは過去に何回も見たことがあるし、上野遥さん選曲によるダンスが激しめなセットリストで、以前見た時もパフォーマンス重視のチームという印象はありました。しかし今回見て、これまで見て感じたよりもさらに上のレベルの高さを感じて、単純にすごいと感嘆してしまいました。

 

 この公演を私は幸運にもセンターゼロズレの席で見ることが出来ました。この日は上野遥さんの生誕祭だったので、上野さん推しには申し訳ないぐらい良い席でした。ちょうどステージの端から端までがぴったり視界に収まるポジション。そこから見るチームオレンジのパフォーマンスは圧巻でした。単にダンスが揃っているを超えて、腕の角度であったり動かすタイミングまで集中力が行き届いているパフォーマンスでした。7人が1列になって踊っていると非常にシンメトリーで、見ていて爽快でした。

 

 公演は先にチームブルーが出て、後半がチームオレンジでした。オレンジのあまりに統率されたパフォーマンスに衝撃を受けて、あれ? そういえばブルーはどうだったんだ? と直前の時間を思い出そうとしたのですが、悲しいことにブルーのダンスが揃っていたとかいなかったとか全く覚えていません。私は豊永阿紀さんが好きなので、ブルーのほとんどの時間を豊永さんを見ることに費やして、全体を見ていなかったのです。

 

 豊永阿紀さんを好きでいることが、巡り巡ってチームとしての公演の良さを見逃しているのではないか、そんな疑問が湧きました。豊永さんを見ていられるのだからそれでよいのではないかと言われればそれはそうなんですが、なんとももどかしい。ステージは彼女一人で作っているわけではないので、全体を見ていないのは片手落ちではないでしょうか。

 

 チームブルーは村重杏奈さんや田島芽瑠さんに代表されるように、HKT48の中でも特に個性の強いメンバーで構成されています。その個性溢れるメンバーがぶつかりあって生じる火花のような輝きがチームブルーの魅力だと私は思っています。それぞれがやりたいようにやって、歪でも爆発的な光を放つのがブルーです。なのでブルーを見るときは個にフォーカスして見ています。

 

 対してチームオレンジは、飛び抜けて好きというメンバーがいないこともありますが、よりステージ全体を見る感じです。それによってオレンジのチームとしてのパフォーマンスのすごさに気付けました。またオレンジのすごさに気付けた理由のひとつに、座席がとても良かったことがあります。少しでもセンターからずれた席だったらここまでオレンジのパフォーマンスに圧倒されなかったと思います。受け取る側の環境や体調によって評価が大きく変わってしまう、これはよい一例です。

 

 このように博多なないろ公演は、チームによって見方を変える、もしくは変わらざるを得ないことによって新しい魅力を発見出来る良さがあります。どのチームを見てもそれぞれの良さに気付けるように自分が変化していくことで、何度も見た対象でも新たに魅力に気付けることもあり、その過程が楽しいです。

 

 そして明らかに去年から今年春にかけての博多なないろ公演よりも、今の自分はHKT48に対する解像度が高くなっています。以前よりも確実に楽しんでいる自分がいます。見続けるとはこういうことなんだなと実感している2021年秋です。

 

 

 

 

 
 
 
 
 
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写真を選ぶ悩ましさについて

 久しぶりに一眼レフで写真を撮りました。写真を撮ること自体は好きなのですが、ここ2、3年の私はiPhoneで撮るかフィルムのコンパクトカメラで撮ることが多く、それらに比べてかなり重たいデジタル一眼レフは持ち歩くことがほとんどありませんでした。重いのもあるし、画像を取り込んだりするのも面倒ですしね。そんな自分が久しぶりにデジカメで撮ろうと思ったきっかけは、The Creators 2021というイベントでHKT48を撮れるかもしれないと考えたからです。去年のそのイベントでのHKT48は撮影出来たので、今年も撮影出来るだろうとデジカメを準備しました。数年ぶりに充電したバッテリーが全然100%にならなくて寿命かと不安になりましたが。

 

 結局イベント当日に撮影禁止のアナウンスがあってHKT48は撮れなかったのですが、デジカメモチベが高まっているところだったので、それでも何か撮りたいなあと思っていたら、Jリーグアビスパ福岡横浜FCの試合に豊永阿紀さんがゲストでやってくることを知り、こちらは過去の試合から撮れることがわかっていたので、デジカメを持ってベススタまで行ってきました。スタジアムに入場してから自分の座席エリアが撮影には向いていない席だったのがわかり、結果としては豊永さんを撮れるには撮れましたが、納得出来る撮影だったかというと悔しさの残るものでした(自分のミスです)。試合は後半ATにアビスパが同点ゴールを決めて、勝てはしなかったけど盛り上がって面白かったです。

 

 帰宅して写真をチェックして、インターネットにアップ出来そうなものを探したのですが(基準がそこなのはそもそもどうなのかとは思いますが)、撮れるタイミングも少なかったとはいえ、まあ撮れ高が少ない…。それでも数枚、これならというものを選びました。しかし自分でも完璧に納得のいく写真ではなくて、このようにちょっとでも躊躇が伴う写真をSNSにアップすると必ず後悔するのは過去の経験からわかっているので、ツイッターのように拡散しやすいSNSには投稿せずに、インスグラムのストーリーにだけアップしました。

 

 ストーリーでは豊永阿紀さんに@を付けてアップしました。ありがたいことに豊永さんはファンのストーリーもチェックしてくれるので、あまり大っぴらに公開したくはないけど、豊永さんには伝えたい気持ちはあって@を付けました(しかし自分がもしアイドルだったらファンのストーリーでも怖くて見れないだろうから、豊永さんの胆力というか信頼してくれてる感じは本当にうれしいです)。

 

 ただ私はそのストーリーに、ツイッターに上げるほどの自信がないと書いたのですが、この点についてアップした後もずっと考えていて、ずっともやもやしたまま終わらせるのもよくないと思い、いっそ言語化しようと、それがこのブログを書いた次第です。

 

 もやもやの大きな部分を占めているのは、写真の公開非公開を自分が判断していいのかということです。ジャッジすることが被写体を否定しているようで心苦しくなりました。これは半目だからちょっとなあと思うことや(これは仕方ない)、取捨選択することが私の価値観で相手を削っているようで、そう感じることで自分自身も削られてしんどかった(最近ちょっと気にしすぎなのかもしれませんが)。だからといって、どんな瞬間の推しも可愛いでしょ、と推しに対する盲目的な愛でもって何でもアップしてしまうのも違うと思うし難しいところです。

 

 またツイッターにアップしないことに対して、正確には私が撮る豊永さんの写真がアップするクオリティに達していない、つまり私の技術的な問題でアップしないのですが、なんとなく豊永さんに問題があるように受け取られてしまいそうで、そこがもどかしいです。しかしそう感じてしまうのは、本心ではそのように思っているから不安があるのではという疑いもあります。自分が豊永さんをどう見ているのか問われています。

 

 とか考えても、アイドルは日々SNSのいいね数などでどんな自分が好まれているのかジャッジされているわけでもあり、慣れているのだからいちいちファンが気にすることではないのではと思いつつも、慣れでスルーしてはいけないはずです。

 

 以前あるアイドルの写真を公開したら、後で当人からその写真の表情が自分的には好きではないと伝えられ、申し訳ないなと削除したことがあります。ただその写真も私から見たらいい表情だなと思っていたので、判断基準は人によるわけです。また乃木坂46が乃木坂工事中の企画で、メンバー自身の納得のいかない写真を公開したことがあり、プロフィール写真やCDの宣伝などでがっつり使われていた写真もダメ出しされていて、被写体にとっても作り手側にとってもつらい回がありました。本当に難しい。

 

 こちらがいちばん安心出来るのは撮影会で一般的な、公開したい写真が公開可能かどうか被写体側に確認する方法です。しかしHKTがいちオタクの野良撮影の問い合わせに対応するのかと考えたらしないでしょうし、本人も返答出来ないでしょう。こちらの良心に任せるしかない。そこまで悩むなら公開しなくていいじゃないと思うところですが、その一方で写真を褒められたいという欲もあります。推しの良さを広めたいといった模範的なオタクとは異なる、とても利己的に生きている自分なので、どこでその欲望と折り合いをつけるか難しいです。

 

 数年前のよくアイドルの写真を撮っていた頃はこのような悩みもなかった(気がします)。何故今回ここまで考え込むようになったかというと、時代が変化して自分もその流れを学んでいることもあるけれど、それよりも相手が豊永阿紀さんということが大きいです。アイドルとファンの関係であっても、豊永さんの近づき方は積極的過ぎるので、こちらもより丁寧に向き合わなければいけないと気を引き締めます(私から見たら自ら傷つきに行っているのではと時折心配になります)。豊永さんとの距離感の近さで戸惑うなら、じゃあ遠ければいいのかといえばそういうことではないわけで、どんな距離の関係でも謙虚でなければいけません。

 

 豊永さんとの距離の近さと書きましたが、実際近いかというと、近くはないです。現状のHKT48に関しては一方通行のコミュニケーションのみなので常に不安があります。相手に届かない壁打ちの愛ならともかく、届いているかもしれないが反応がわからないので不安です。しかも私はコロナ禍以降のリアルなコミュニケーションを断たれた後の新規ファンなので手応えがわからない。

 

 HKT48を好きになって1年、メンバーと会話出来たのはオンラインお話し会での豊永さん1回のみという状況で、よく自分は好きでいられ続けているなと思います。昨今の距離の近いアイドルに慣れきった自分がここまで我慢出来ていることに自分自身驚いています。ここまでくると次に会える時の怖さもあります。一方通行のコミュニケーションが実はあらぬ方向への暴走だったりする不安もあり、実際これまでの自分の行いが試される機会であった豊永さんとの初めてのオンラインお話し会はとても緊張しました。

 

 話が写真とは違う方向に進んでしまったので写真に戻すと、理想としては良い関係を築けた上で写真を撮りたいですね。そうなれば悩むこともなくなるはずです。豊永さん自身が好きな豊永さんを私も理解して好きになれたらと思っています。そしていつかは豊永さんをフィルムで撮りたい。そんな日が訪れることを願いながら、遠くから見守る日々がまだもう少し続くのでしょう。